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大手ハウスメーカー6社の技術カタログを比較! [理想のハウスメーカー探し]

同じようでもかなり違います

平成21年に長期優良住宅↓の制度が整備されて以来、
http://www.sumai-info.jp/chouki/index.html
大手はもちろん中小の住宅会社も高性能な家を意識し、
もはや「高耐震」「高断熱」「高耐久」の家は当たり前になっている。
*最近こんなこともあったけど↓
http://www.mlit.go.jp/common/000213117.pdf

ならばどのメーカーに依頼しても同じような性能の家が建つのか?
あらためて大手6社の最新技術(テクニカル)カタログを比較してみた。
表紙.jpg

対象メーカー
・ セキスイハイム
・ ミサワホーム
・ 積水ハウス
・ へーベルハウス
・ ダイワハウス
・ 住友林業

読み込んでみて最初に感じたのは、
「メーカーによって情報量がかなり違う」
ということ。

メインターゲットとなる年齢層、地域、嗜好を意識してか、
はたまた自信のない部分には触れないからか。

そんな中で特に情報量の多さと解説の丁寧さが目立ったのが、
セキスイハイムミサワホームだ。
ではその2社から順にその特徴を紹介します。

セキスイハイム(鉄骨ラーメン工法)
業界トップクラスの高性能を具体的数字でアピールし、「なぜその性能が必要か」まで分かりやすく解説
●耐震性のアピールポイント
・ 鉄骨の耐用年数は140年
・ 柱と梁の接合はボルトでなく溶接なのでより強固に緊結
・ 布基礎よりも強固なベタ基礎を採用⇒鉄骨メーカーでは唯一のはず!
・ 液状化に関する実験も実施済み
・ 工場生産が現場建築よりも優れている理由を図解で説明
とはいえ……
・ 制震や免震はない

●断熱性のアピールポイント
・ 「Q値とは」「C値とは」の解説あり(自社の数値もきちんと記載)
・ スマホやPCで毎日の光熱費が確認できる
・ ヒートショックなど断熱性が低いと起こるデメリットも解説
・ 独自の全館空調システムあり(加湿機能あり)
・ 熱交換型換気が標準装備
ハイムカタログ.jpg

●耐久性のアピールポイント
・ 外装タイルはメンテナンスフリー
・ サイディングは30年塗り替え不要(ALCとの比較あり)
・ 59年目までのメンテナンスコストを表示
・ 設計段階で「光熱費」「ランニングコスト」「耐震性能」をシミュレーション
・ 躯体・防水20年保証
・ 60年目まで5年ごとに無料点検
とはいえ……
・ どの部分を何年目でメンテナンスするかは不明

ミサワホーム(木質パネル工法)
各ページに専門用語の解説があり、さらに巻末には索引もある。非常にくわしく丁寧な内容。高性能さが十分理解できる
耐震性のアピールポイント
・ 接着剤による接合は釘よりも2倍強固
・ 接着剤には発揮性有機化合物が含まれていない
・ 木質パネルの耐力壁は鉄骨・2×4・木造軸組みよりも強い。たとえば鉄骨の1.5倍
・ 使用するスクリュー釘の引抜耐力は丸釘の2倍
・ 制震システム「MGEO」によって変形量を1/8に抑える
とはいえ……
・ 木材の樹種が分からない
・ 実大実験の加速度が818ガルと他社に比べ少な目(MGEOなしの場合)


断熱性のアピールポイント
・ Q値が標準で1.8は立派。さらに1.37も可能
・ 熱交換型換気を標準装備

耐久性のアピールポイント
・ 500年に一度の豪雪にも耐えられる
・ バルコニーはシート防水(多くの木質系はFRP)
・ 外壁タイルはメンテナンスフリー
・ 現場での薬剤散布がない「無公害防蟻工法」
・ 躯体30年、防水15年保証。有料で永久保証
・ 365日、24時間サポート
とはいえ
・ どの部分を何年目でメンテナンスするかは不明
ミサワカタログ.jpg

積水ハウス(鉄骨軸組み工法)
情報量が多く、解説が丁寧で分かりやすい。性能として特に優れた部分はないが、欠点もない
耐震性のアピールポイント
・ 大型コンクリート基礎(幅160mm・フーチング幅520mm)
・ 外壁の脱落・ひび割れを防ぐロッキング工法
・ 総合研究所で実験を繰り返している
・ 工場生産は精度が高い
とはいえ、
・ 構造に関する強さの裏付け数値がない(~トンとか)
・ 工場生産の精度に関する裏付け数値がない

断熱性のアピールポイント
・ 熱橋を防ぐ「ぐるりん断熱」
・ 断熱仕様は3段階から選べる
とはいえ
・ Q値の表示がない

耐久性のアピールポイント
・ 風速60m/sに耐える外壁
・ 外壁の強度は公的基準の11倍
・ ダインコンクリートは独立気泡なので水に強い
・ 瓦はすべてをビス止め
・ 全国7カ所の試験場で暴露実験を実施
・ 外壁。シーリングの耐用年数は30年
・ 外壁はセルフクリーニング機能あり
・ 粒状防蟻工法で薬剤の飛散が少ない
・ 20年保証。以降有料点検で永久に保証継続
とはいえ、
・ 鉄骨の耐用年数の記載がない
・ アフターが24時間体制ではない

へーベルハウス(鉄骨軸組み工法)
専門用語が多く、それに対する説明も足りない。情報量も少ない
耐震性のアピールポイント
・ 80mmの太い角柱
・ 鉄骨の耐用年数は60年以上
・ 標準で制震システムを装備
・ コンクリートの耐用年数は65年
・ 外壁の損傷を軽減するロッキング工法
とはいえ、
・ 柱の強度を表す数値がない
・ 制震システムの震動軽減量の記載なし(「揺れを1/2にします」とか)
・ 「コッター」など専門用語が多く、理解しずらい
・ 耐震実験時のガル数不明
・ 工場生産のメリット解説がない
・ 免震がない

断熱性のアピールポイント
・ 断熱材「ネオマフォーム」を使用
とはいえ、
・ Q値の記載なし
・ 気密性に関する記載なし
・ 換気方法が分からない
・ 「ネオマフォーム」の他に比べどこがいいのか分かりづらい
・ 全館空調に触れていない

耐久性のアピールポイント
・ 60年間の部材ごとのメンテナンス計画が分かる「ロングライフプログラム」⇒他社になく分かりやすい!
・ 60年点検システム。30年まで無料
・ 24時間サポート
・ シート防水、屋根材、外壁の耐用年数は30年
とはいえ、
・ シロアリ対策の記述なし
・ 保証期間の記載なし(「保証期間は契約書を参照」とある)
へーベルカタログ.jpg

ダイワハウス(鉄骨軸組み工法)
外張り断熱などアピールポイントは多いはずなのに、表現に強弱が少なく注力点が伝わってこない
耐震性のアピールポイント
・ ブレースの強度は一般鋼材の1.2倍
・ アンカーボルトの強度は一般鋼材の1.7倍
・ 基礎の立ち上がり幅は170mm
・ 従来よりも杭本数を減らすことでコストを抑えた独自の地盤補強工法
とはいえ、
・ 実大実験を行った際の揺れの大きさ(ガル)の記載がない

断熱性のアピールポイント
・ 熱橋を防ぐ外張り断熱
・ 低別にQ値診断を実施
・ 独自開発のグラスウールは従来比1.5倍の断熱性能
・ すきま風を断つ高気密技術(気密測定を実施)
とはいえ、
・ Q値表示なし
・ 熱交換型換気は寒冷地仕様のみ

耐久性のアピールポイント
・ 積雪200cmに耐える屋根構造
・ 鉄骨の耐用年数は75年以上
・ シロアリの心配がない鋼鉄束・大引き
・ 外壁塗装は高い耐候性のXEコート
・ 構造躯体は20年保証。それ以降も有料で永久保証
とはいえ、
・ 外壁塗装の耐用年数の記載がない
・ 外壁塗装のセルフクリーニング機能の説明がない(機能はあるはず)
・ シーリングの耐用年数の記載がない

住友林業(木造軸組み工法)
高スペックなはずだが、かなり薄い内容。ページ数は今回の中で一番少ない
耐震性のアピールポイント
・ 柱と土台に使用される「スーパー檜」は、標準的な木造住宅の柱にかかる約12倍の荷重に耐える
・ 耐力面材「きずれパネル」の壁倍率は2.5倍。5.9倍の「ダブルネイル工法」もあり
・ 制震システムあり
とはいえ、
・ 実物大実験のガル数がない
・ 「スーパー檜」が一般的な集成材や鉄骨に比べどれくらいの強度があるか分からない
・ ベタ基礎か布基礎かの記載がない

断熱性のアピールポイント
・ Q値1.83は優秀

耐久性のアピールポイント
・ 躯体、防水30年保証
・ 60年定期点検プログラム
・ 24時間365日プログラム
とはいえ、
・ 「部材の降雨実験を行っている」とあるが、その結果がない
・ 定期点検が有料か無料か分からない
・ 点検の内容が分からない
・ 外壁のメンテナンスに関して触れていない
・ シロアリ対策に関する記載なし
住友カタログ.jpg
以前に比べQ値を記載するメーカーが減っている。
これは中小のメーカーでも2以下のところが増えてきて、
2以上の大手メーカーはアピールしづらくなったのかな。

このように各メーカーのカタログを一度に読み比べると、
どの会社がどこに注力しているかがよく分かる。
たとえば、
セキスイハイムは具体的数値に基づく高性能、
積水ハウスはメンテナンスの楽さ、
ヘーベルハウスは各部材の耐用年数の長さ。

逆に他社では記載があるのに、
ない部分は弱みかもしれないので、
営業マンによく聞くべきだと思います。


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はせちゅう

ミサワホームの実大実験の最大試験波は、818galではなく、2000galだと思うのですが?
818galは、阪神・淡路大震災レベルとして記述してあるだけです。

たまたまミサワホームの間違いに気づきましたが、住宅ライターとして情報を発信しているなら、他社含めて正しい情報で発信してください。
by はせちゅう (2014-01-05 22:42) 

前太

はせちゅうさん、コメントありがとうございます。
ミサワホームのカタログでは、
818ガルはMGEO(オプション)なし仕様の変形量紹介で、
2000ガルはMGEOあり仕様の最大試験波ですね。
記事中では前者を指しておりました。
紛らわしい書き方でしたね。
失礼しました。
by 前太 (2014-01-06 10:18) 

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